
上海市内北東にある魯迅公園は、魯迅のお墓や記念館のある大きな公園で、クルマやバイクは(原則)乗り入れてこないので、安心して走ることが出来る公園です。が、ここの見どころは、何と言っても公園に来ている人たちの様子を観察すること。
太極拳をやっていたり、トランプに興じていたり、楽器の練習をしていたり、というのは特に珍しくありませんが、大人数でソシアルダンスの練習をする人々、水をつけた筆で器用に地面(石のブロック)に字を書く人、鯉のぼり的なものを腰につけてグルグルまわしている人、鞭を打つ練習をしている人、胡弓(中国の伝統楽器)を弾く人の隣りでガンガンにロックをかけて歌う人、それを見物する人だかり…と、挙げていけばキリがないほど、不思議な光景に遭遇します。最初は興味本意、見ていておかしくて笑ってしまたのですが、見ながら園内を回っているうちに、だんだん彼らの人生の時間の豊かさというものがじわじわと感じられて来ました。決してお金をかけているわけでないのに、思い思いの時間を公園で過ごす姿。ソシアルダンスを踊っている人たちは、よく見ていると、どんどんパートナーを変えていっているので、おそらく初対面の人同士でも踊るといった交流が生まれているようなのです。
考えてみると、日本ではこうした光景はあまり見かけないと思います。お金がなくても、あるいは政治的に難しいこともある日常であっても、独自のペースで人生を楽しむすべを知っている上海人たち。ここは、人生の楽しみ方の見本市だな、と思えてきました。
ちなみに、走っている人もいますが、それほど多くありません。公園に来ている人の数も多いので、混雑しているところでは歩きましょう、というか走れません(笑。
バラエティに富む人々の過ごし方を堪能するには、午前中早めの方がよいようです。午後になると、味わい深い光景が減ってしまうとか。ぜひ、上海に行ったら訪れて頂きたい場所の一つです。